FC2ブログ

キャンプ? in car (18) ~キャンプ場 その13~


~キャンプ場 その13~

子供たちの声に、恵美子は清三を押しのけてトイレから出ると、
コテージの入り口に素早く移動した。

「早いのね、もう遊ばないの? 楽しかった?」
「うん。僕はまだ遊びたいけど、香住が帰るって言うから......」

正彦は消化不良気味に答えた。
恵美子はトイレの方向を気にして振り向くが、清三がトイレの中から出てくる気配はない。

「何か飲む?」
「じゃあ、僕はオレンジジュース」
「香住はりんご」

子供たちの笑顔に、後ろめたい気持ちを覚えつつ「はい、はい」と言って頷く恵美子の口元を香住が凝視している。

「何?」
「ママの口から髪の毛が生えてる」

香住の視線に正彦の視線が加わり、恵美子は慌てて手の甲で口を拭う。
拭った方の手の甲を確認すると、1本の陰毛が付着していた。

「2人とも、コップを持ってきて」
恵美子は冷静に子供たちに声を掛け、手を振って陰毛を払う。

子供たちが、そろってコップを取りに行くと同時に、トイレから水洗の音が聞こえ、清三が何食わぬ顔で出てきた。

清三は、コテージの出入り口に立つ恵美子に対して意味深な視線を送るが、無言のままそばを通って外に出て行った。
 
暫くして、コテージの外に車が止まり、正志と梨花が笑いながら降りてきた。 
出迎えた清三が、訝しげに声を掛ける。

「おいおい。何かご機嫌だな」
「正志さんに愚痴を聞いてもらったのよ。」

「愚痴って?俺の?」
「内緒。ね~正志さん」

梨花が正志にウインクする。
正志は苦笑いを浮かべつつ、内心の焦りをコントロールする事に意識を集中させていた。

「まあ、話は帰りの車の中で聞こうか。恵美ちゃんはコテージで片付けしているよ」
「じゃあ私は片付けを手伝う」

梨花は、再び正志にウインクしてコテージに入っていく。

「おいおい、俺の悪口かよ。あいつ何を話した?」
「お前の、女癖」

正志は意地悪く含みを持たせて清三の様子を窺うが、当の本人は恵美子との不貞を知られているとは露ほども知らず、

「誤解があるな」
と独り言のように呟いて、車から釣り竿を降ろすのだった。


正志と清三が子供達を連れて釣りに出かけ、恵美子と梨花は昼食のカレーの準備に取り掛かった。

「梨花、なんだか変な感じ」
「変? 何がへんなの?」

「昨日とは違う感じがする。なにか良いことあった?」
「恵美の気のせいじゃないの? でもキャンプで気分が晴々した感はあるはね」
梨花は、そう言って恵美子に笑顔を向ける。

「なんだか嬉しそう」
「恵美こそ欲求不満が解消したって感じよ。図星?」

梨花は、自分の夫と自分の親友の不貞を、夫婦の健全な営みであったと勘違いしているが、恵美子にとっては心臓を突然に鷲掴みされたような衝撃を受ける話だった。

―――!?

恵美子は、気持ちとは裏腹に冷静に表情を保ちつつ梨花の方を見る。

「だって、昨日の夜は・・・・・・ してたでしょ?」
「えっ!?」
「聞こえてたの。正志さんと凄く盛り上がってたの知ってるのよ」

―――梨花は勘違いしている

「でも、正彦くんと香住ちゃんは寝てたから大丈夫よ。もしかしたら、うちの旦那は起きてたかもね」
梨花は、悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「変なこと言わないでよ。それはそうと今日の梨花は変よ」
「そう? 夫婦の仲の良さを見せつけられて・・・・・・ちょっとうちと比べて落ち込んでたの」

「川野さんと何かあるの?」
「何かあるんじゃなくて、その逆。何もないの」

「何もないって? 夜の方?」
「うん。恵美と違って、オッパイは小さいし・・・・・・ 私に女性としての魅力が無いのか悩んでたんだけど・・・・・・」

梨花の顔が若干曇る。
「そんな・・・・・・」

「でもね、もういいの。なんだか、私の思い過ごしというか・・・・・・ キャンプに来て気分が晴れたわ。」
恵美子は梨花の様子を窺うが、言葉通り晴れやかな顔をしているように見えた。

「梨花・・・・・・ お互いに色々とあるはね」
「うん。帰ったら久しぶりに2人で飲みにいきましょ」

「そうね。あっ! 鍋! 沸騰してる」
調理中の鍋がボコボコと音を立ててお湯を盛り上げ、溢れる寸前で梨花が素早く火を消した。


暫く釣り糸を垂らしていたが、どの竿にも当たりがない。それもそのはずで、澄んで透見な水中に見渡す限り魚の影が一つもないのだ。

清三がうんざりした顔で口を開く。
「これ、詐欺だよな」

「まったく。帰りに返金してもらうかな」
「借りたときに何か言ってなかったか?」

「いや・・・・・・ こういう所は放流してるのかと・・・・・・ 思ってたよ」
「確かに・・・・・・ 止めるか」

「もう少しだけ」
正彦が正志と清三の会話に割って入る。

「分かった。もう少しだけな。帰りの時間もあるし」
「うん。絶対に釣ってやる」

「正彦くん。今度おじさんが釣りに連れてってやるよ」
「えっ!? 本当? 行きたい!」

「清三、勝手に約束するなよ。こいつは連れていくまでしつこいぞ」
「絶対に行く」
「わかった。約束な」
正彦は清三に向かってガッツポーズを作り、釣りを再開する。

「清三、責任取れよ。」
正志は呆れ顔で清三を横目で見る。

「じゃあ次はみんなで釣り旅行だな」
清三の「みんなで」というところに、何か引っかかる思いがしたが、正志は清三の妻の梨花を抱いたことで、幾分か清三と恵美子に対するわだかまりが小さくなっているように感じていた。
 2016_10_19


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


08  « 2017_09 »  10

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

現在の閲覧者数

現在の閲覧者数:

プロフィール

ヒデマル

Author:ヒデマル
はじめまして。
本業から脱落したい
サラリーマン(?歳)です。
性癖が合えば嬉しいですね~
★★★相互リンク、コメント大歓迎★★★

最新トラックバック

トータル来場者数

ブロマガ購読者向けメールフォーム

全記事表示リンク

検索フォーム

リンクはフリーです

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
アドレス:
本文:

ランキング




PAGE
TOP.