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キャンプ? in car (20) ~復路 その1~


キャンプ場を離れてそれほど時間は経っていないが、正志は
夏の日差しが厳しさを増した錯覚を覚えた。

エアコンの効きの悪さが、そう錯覚させたのかもしれない。
運転席の清三にエアコンの温度を下げるように声を掛ける。
 
「ちょっと暑いな、もう少し温度を下げないか?」
「3列目は吹き出し口がないのか? 設定温度を下げるか・・・・・・」

清三が操作パネルに手を伸ばす。
それを助手席の恵美子の手が制止した。

「いいの、子供たちが風邪をひくと困るから」
「だってさ・・・・・・」

清三がルームミラー越しに、正志とその隣の梨花に視線を向ける。
「あなた、我慢しなさいよ」

恵美子は助手席から身を乗り出して、2列目の子供たちに
ブランケットを掛けた。

子供たちは、つい今しがたまで名残惜しそうに窓から流れる緑の
景色に見入っていたのだが、キャンプ場での疲れが一気に噴き出し
たのか、ほぼ2人同時に眠りに落ちていた。

ハンドルは清三が握ている。
出発前に、清三の運転するという申し出を正志は強く断った。

清三は一歩も引かず、梨花と恵美子までが交替で運転する事
を提案して、正志が折れる形となったのだ。

正志は、妻が自分に気を使ってくれている事を嬉しく感じた。
しかし、出発してすぐに嬉しく感じた気持ちを、不信感という
真っ黒い霧が覆った。

出発前に、子供たちは疲れで眠ってしまうであろうと分かっていたので、
2列目の座席に並んで座らせた。

清三が運転するため、正志は3列目に座ると、何故か妻の
恵美子が助手席に座り、必然的に正志の隣が梨花となった。

正志の隣に恵美子が座れば、当然に助手席は梨花が座ることになり、
お互いのパートナーが自然な形で乗車できたはずだ。

しかし、恵美子は迷うことなく、清三の隣を選んで座ったように見えた。
正志は、片付けの最中に妻と清三が抱き合っていた様子を思い出した。

恵美子に少なからず清三を拒む様子が見て取れたことから、2人の関係の
深さを測りかねていたのだが、出発前にあえて清三の隣を選んで乗車した
妻の行動に、怒りと不信感が沸々と湧き上がっていた。


6人を乗せた車は、高速の入口を目指し田舎道を順調に進んで行く。
正志は、初めて自分の車の3列目シートに座った。
走り始めると、その座り心地の悪さに車酔いの予感を覚えた。

帰り道は同じ方向への車が少なく、信号も少ないことから殆ど
減速や停車をしない。

運転席では、清三と恵美子が何やら話をしている。
内容はFMラジオから流れる懐メロが邪魔をして聞き取れない。

出発した当初は、恵美子は清三の話に不愛想な表情で返事をしているように見えた。
暫く走ると、次第に不愛想な表情が消え、笑顔の方が多くなっているような気がする。

正志はわざと大きな声で、妻と清三の会話に割って入る。
「眠くなったら何時でも言ってくれよ、運転替わるから」

「ああ」
清三は正志が邪魔だと言わんばかりに短く返答する。

隣の恵美子は正志の言葉に特段の反応はなく、
運転中の清三の方へ笑顔を向けたままだった。

正志は複雑な感情を抱えて深くため息をつくと、なるべく前列の2人を
意識しないように視線を外の景色に向けてシートに深くもたれ掛かった。
 2017_02_15


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