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キャンプ? in car (26) 帰宅


恵美子と清三が車を先に降りてから、30分近くが経過していた。
車中では、正志と梨花が体を離し、お互いに乱れた呼吸を調えている。

「僕が見た事を話すよ」
正志は梨花の表情を窺いながら、昨夜のコテージでの出来事と、
出発前に恵美子と清三が隠れて抱き合っていた事実を梨花に告げた。
 
正志の話を黙って聞いていた梨花は、どこか納得したように口を開く。
「そういうことね。私がさっき見た光景は、やっぱり前段の話があったのね。」

「前段というのか・・・・・・ 昨夜は2人の声しか聴いてないけど・・・・・・ あれは間違いなく
セックスの時の声だった。ただ、どのくらい前からの関係なのかは疑問が残るけど」

「たぶん、そんなに昔からの深い関係ではないと思うわ。あの人嘘が下手だから。もし昔からの
関係なら、もうとっくに私にバレているはず」

梨花の話は、いわゆる女の勘というもので、2人の関係が以前からのものではないという根拠は
どこにも存在していなかった。

正志は日頃の妻の言動を慎重に思い起こして、早急ではあるが、妻を信じたいという気持ちから
梨花と同じ結論に達した。

正志は真剣に話をする梨花の様子を見て、唐突に笑いが込み上げてきた。
「はは」

「何が可笑しいの?」
梨花が不思議そうに正志の顔を見る。

「ごめん。2人の関係を詮索している僕たちが・・・・・・ その・・・・・・ 2回も・・・・・・
そう考えると、なんだか滑稽に思えて・・・・・・」

「そうね。私に夫を責める権利はない・・・・・・」
「いや、梨花ちゃんは悪くない。2回とも僕から誘ったんだから。でも・・・・・・
こんなこと言うと性癖を疑われるけど、昨夜の恵美子の喘ぎ声で、
なんだか興奮してしまって・・・・・・それで・・・・・・」

2人の会話は、お互いに歯切れが悪い。正志は梨花と話をしている間も、窓の外に
恵美子の姿を探していた。

「へーそうなんだ。興奮したんだ。それで昨日は強引に私を誘ったのね」
梨花が悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「それもある。でも、どちらかというと梨花ちゃんが魅力的だったから・・・・・・」
「いいのよ。筒井さんは正直ね。私も本当の事を言うと、車の中で2人がキスする
ところを見て腹が立ったわ。でも凄く興奮している自分がいることに
気が付いたの。多分、筒井さんが感じたものと同じものだと思う」

梨花の頬が赤くなった。その横で正志は
「これからどうすれば・・・・・・」
と呟いた。
車内では、子供達の寝息がいつの間にか消えていた。


正志と梨花の話は、目を覚ました子供達によって中断された。
「ママは?」
香住が不安そうに車内を見回す。

「目が覚めたのね。ママは先に降りたのよ、一緒に探しに行く?」
「うん」

「僕もトイレ」
正彦がシートベルトを外す。

正志はサービスエリア内の建物の方向を見るが、恵美子と清三の影は見えない。
「よし、まだ帰ってくる気配がないから、行き違いにはならないだろう」
4人は車を降りた。

駐車場は到着時よりも更に車の数が増えているようで、正志が他の車に
注意を払いながら先頭を歩いて行く。

すぐ横で香住の手をひく梨花が正志に小声で話しかけた。
「帰ってこないけど、あの2人どこかでしてるんじゃない?」

「えっ!?」
正志は首を左右に振って、サービスエリアを大きく見渡す。

「この人混みで? 隠れてする所なんてないよ」
「トイレとか?」

「トイレこそ、人で一杯だと思うけど」
正志は自然とトイレがある方に進路を変えて早歩きになった。

トイレまでかなり近づいたところで、先頭を歩く正志の目に共用トイレから出てくる
恵美子の姿が映った。

―――まさか!?―――

恵美子は正志達に気が付かず、そのまま売店が入る建物の方に歩いて行くが、
正志は恵美子の姿を追うことなくトイレの出入口を凝視した。

先ほどの梨花の言葉が頭の中を駆け巡る。
しかし、トイレからは正志が考えた人物が出てくることはなく、
スライド式の扉がゆっくりと閉まり切った。

安堵した正志が建物に入る寸前の恵美子の方に視線を戻すと同時に、
斜め後方から声を掛けられた。

「すまん、すまん」
振り返った正志たちに喫煙コーナーで煙草を吸っている清三が手を振っていた。

「早く車に戻ろうかと思ったんだが、煙草がいつもより美味くてな」
正志は清三のどこか言い訳じみた言い方が気になった。

「香住ちゃんたちが目を覚ましたから、みんなで車を降りてきちゃった。恵美子は?」
 夫と親友の不貞の事実を知ったばかりの梨花が、平静を装ってか
いつもと変わりのない口調で夫に話しかける。

「お互いにトイレに行ってからその後は見てないが・・・・・・買い物かな?」
清三は左手で鼻頭を触りながら梨花と目を合わせないで答えた。


結局、2家族が合流してから買い物などで1時間近くをサービスエリアで費やした。
サービスエリアからは正志が運転を引き継ぎ、助手席には
妻の恵美子がそのまま座っている。
3列目のシートには清三と梨花だ。

正志は運転の傍ら横目で恵美子を見て、憔悴した感のあるほつれ髪の妻に、
いつもにない色気を感じていた。

SAを出発してから、お互いの夫婦の会話はなかったものの、子供中心に
話は絶えないでいた。

「次は釣りに行きたい。川野のおじさん、連れてってよ」
「おいおい、俺に言うなよ。パパに言えよ。パパに」

「だって、言っても連れてってくれないし」
「わかった。次は釣りな」

2人の会話に恵美子が割って入る。
「無理を言っては駄目よ」

「無理じゃないが、また企画するか?」
清三が運転席の正志に話を振る。

「ママに聞いてみてからな」
正志は、この2日間の出来事を冷静に頭の中で考えてはみたものの、整理しあぐねていた。

当然に次の予定など考えられない心境であって、子供の提案を却下するつもりで、
普段から子供のわがままに聞く耳を持たない恵美子に話を振った。

恵美子は少し考える素振りをして
「夏休みの宿題を終わらせたらいいわよ」
と言って、条件付きのオーケーをあっさりと出したのだった。

正志は恵美子の言葉にいよいよ混乱し、返す言葉が出てこなかった。
そして、正志があれやこれやと考えを巡らしているうちに
「お家が見えた」
と元気一杯の香住の声が車内に響き渡った。


キャンプから帰って3日が過ぎた。
筒井家と川野家は日常に戻り、正志と梨花のどちらもが口をつぐんでいることで、
どちらの家庭にも表面上は波風は立っていなかった。

お互いの伴侶の不貞に、正志と梨花の胸中は穏やかではなかったが、
正志と梨花の肉体関係を結んだ事実が有効なワクチンとなっていた。

正志は、うだるような暑さに加えて、上司と妻の不貞の事実に心と頭の整理が
追い付かず、重い足取りで職場の駐車場から銀行裏の通用口に辿り着いた。

「おはよう」
清三の声だと分ったが、正志はあえて振り向かず
「おはようございます」
と努めて平静に返事を返した。

正志はある時期から清三との関係において、公私を分けて立ち振る舞っていた。
当たり前といえば当たり前なのだが、ある時期とは、清三が直属の上司に
なって1週間が過ぎた頃だった。

同じ会議に出席した後に、清三から誰もいない喫煙所に呼ばれ
「いくら同期のおまえでも、人前では敬語にしてくれ。一応、立場がある」
と冷たい口調で言われた。

そう言われて以降、正志は清三との間に見えない壁の存在を強く感じた。
はたから見れば2人の関係性の変化に気が付くことはないが、正志は見えない壁に
苦悩する毎日だった。

そんな職場環境の中で、上司に妻を寝取られて、正志は清三に対しての
接し方が分らなくなっていた。

「誰もいない所では敬語はよせよ」
「ああ」
正志は気のない返事を返した。

「そうそう。お前に早く伝えたい事があってな」
正志は振り返って清三の表情を窺い身構えた。

「いや~、今度の役席推薦の話な、俺はお前を推す事に決めたよ」
「えっ!?」

恵美子に関係する話しを想像していた正志は、拍子抜けして返答に詰まる。

「いや、誤解がないように。同期だからって事ではなくて、あくまで仕事の能力を
上司として総合的に判断してのことだから。誰かに何を言われたとか・・・・・・
そういうのではなくて」

清三は、いつもの自身に満ちた言葉ではなく、何処か言い訳じみた曖昧な口調で
1人話を終えると、いそいそと正志の横をすり抜けて建物へ入って行った。

その場に残された正志は、清三の言葉でキャンプ以来の混乱の程度をさらに深めた。
清三と妻の不貞、梨花とのこと、それに加えて突然の役席推薦の話。この数日間で
正志の生活は目まぐるしく変化の一途を辿り、将来が見通せない状況へと陥ったのだった。
(第1部~完)
 2017_05_31


Comments

お疲れ様です 

第1部完、お疲れ様です。
正志さん昇進?ですかぁ。この意味合いなんでしょうかねぇ。
前話か前々話で恵美子さんが清三氏とヤル前に耳元で何やら話してたようですがもしや...。
自分は他でも色々なシチュエーションの寝取られモノの作品を見させていただきましたがだいたいセックススキルが高い(ペニスのサイズを含めて)寝取り男のセックスに溺れるのですよね。当作品はその代わり裏切られた者同士してしまいましたから、彼等を非難出来なくなってしまいましたから、どうなるのかは分かりませんが。
男性側の私からすると下らないことかと思いますが正志さんと清三氏のペニスのサイズ等に拘っているようで比べられるのはかわいそうな気がしますね。せめてサイズに関しての描写がない方が、私的には後々のストリート展開がすごく興味深くなるような。
長文、失礼しました。更新お待ちしております。
ヒデマル  URL   2017-06-14 19:26  

Re: お疲れ様です 

コメントありがとうございます。
暫くは新しい話を進めていきたいと考えています。
皆さんのコメントを参考にして、また、励みにして更新を頑張ります。
そうですか~サイズの話は今後の参考としますね。
ヒデマル  URL   2017-06-18 22:45  

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