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船上で寝取られて~その4~


まどろみの中で、船体の静かな揺れを体に感じながらゆっくりと目を覚ました。
寝台に横になった時とは違い室内は薄暗く、妻と昼過ぎにレストランで別れて
から相当な時間が経過していることが分かった。

僕はすぐに寝台から起き出して上段の妻を確認した。
そこに妻の姿はなく、荷物は乗船時のままで、隣の寝台にも学生達の姿は
なかった。

―――絵理は映画に誘われていたな―――

僕は不安な気持ちを抑えつつ客室を出て妻を探す事にした。
 
客室から通路に出て窓の外を見ると、日中の綺麗な碧色は消え、陸上では
感じたことのない深い黒色の世界が広がっていた。

映画が船内の何処で上映されているのかは知らないが、とりあえず
レストランと売店があった上のデッキを目指そうと中央階段を急ぎ足で上がった。

階段を上がり切ると、同室の学生で硬派なイメージの渡辺に声を掛けられた。
「大内さん」

渡辺は1人で階段を下りるところだったようだが、周りに連れの田中の姿が
見えないことから先ほどからの不安な気持ちが一回り大きくなった。

「君は渡辺君だったかな? 妻を知らないか?」
僕は女々しい心情を悟られないように、努めて冷静な口調で妻の居場所を
問いかけた。

「えっ!? ああ~奥さんですか・・・・・・ 田中が奥さんを誘って映画を・・・・・・」
「もう夜だし、さすがに観終わってないかな?」
僕は渡辺の話が終わらないうちから、次の質問を被せた。

「多分・・・・・・僕も途中まで一緒に観ていたんですが、飽きちゃって・・・・・・
それで途中で僕だけ映画館から出てきたんです」

「じゃあ、まだ2人で映画を観ているっていうのかい?」
僕の口調が知らずに強くなっているようで、渡辺が困惑した表情を見せる。

「いえ、僕は早い段階で飽きちゃって、今までゲームコーナーで時間を潰して
いたんです。じゃあ、まだ2人は部屋に帰ってないんですね・・・・・・ 
9時頃まで連続して上映しているみたいだから、もしかしたらまだ観ているん
でしょうか?」

僕はポケットからスマホを取り出して
「電話をしてみるよ」
と言って渡辺と別れた。

渡辺は妻の居場所は勿論、連れの田中の居場所にも大して興味がないといった
感じで階段を下りて行った。

僕は無性に映画館が気になり、渡辺の背中を見送ると電話をすることなく時間を
確認してスマホをポケットにしまった。
日中の船酔いは収まり、少し空腹を感じたと思っていたら、もう8時半を回っていた。

―――まだ上映時間は終わってないな―――

僕は渡辺から場所を聞いた映画館に急いだ。


映画館はレストランと同じメインデッキの船尾に位置し、何もない船上での
娯楽として乗客には無料で開放されていた。

映画館といっても専用に設計されたものではないことは一目でわかった。
窓側の壁と出入口付近には所々に穴が開き、端々が破れている年季の

入った暗幕が下りていて、スクリーンを中心にして設置されている半円状
の5段の階段が客席の役割をしていた。

僕が映画館の扉を開けて中に入ると、黒人と白人の凸凹コンビの刑事2人が
主人公の古いハリウッド映画が上映されていた。
僕が子供の頃にテレビで繰り返し流れていたものだった。

薄暗い客席には暇を持て余した乗客が疎らに座っていた。
フェーリーの乗客数から考えればかなり少ない人数だと思えたが、
上映終了間際の時間を考えればそんなものかと思った。

僕は出入口を閉めて暗幕の内側に立つと、前から二段目に座っている
妻の背中をすぐに見つける事ができた。
 2017_06_13


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