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船上で寝取られて~その6~


僕はエンドロールが終わって館内が明るくなる直前まで、妻と田中の様子を窺っていた。
エンドロールが流れる中、田中に肩を抱かれた妻は身じろぎもせずに体を静かに預けていた。

夫ではなく、知り合って間なしの若い男に体を預けるという妻の大きな裏切りを目の当たりにして、
僕は気が付くとメインデッキの中央階段を1人で駆け下りていた。
 
あのまま劇場で2人の前に出て行ったとして、妻を非難し間男から謝罪の言葉を聞くことが
出来たのかもしれない。

しかし、よく考えてみれば一般的な浮気の一線を妻が越えたとは思えず、妻は旅先の解放感で
少しだけ大胆になっているだけなのかもしれないと擁護する気持ちが生まれていた。

怒りや嫉妬、それに妻を信じたいという強い気持ちが入り混じって船室に辿り着くと、室内の電灯は
消え田中の連れの渡辺の姿がなかった。

僕は渡辺に映画館の場所を尋ねたのだが、その事が妻と田中の耳に入ると話がややこしくなると
思ったので、とりあえずはほっとする気持ちで下段の寝台に潜り込み目隠しのカーテンを閉めた。

―――映画館の件は絵理の裏切りではない。ちょっと開放的になっているだけだ。
これ以上の事は妻が許さないし僕もそう信じる。
渡辺君には僕が映画館の場所を尋ねた事を黙っておいてくれるように頼もう―――

僕は空腹を感じつつ色々と考えを巡らせ妻と田中が戻ってくるのを信じて待った。


程なくして妻と田中は2人一緒に戻ってきた。
妻を待つ間、もしかしたら映画館を後にして2人で別の場所に移動するのではないかなどと
疑念が生じ、実際は5分程の待ち時間がその何倍もの時間に感じていた。
妻が戻ってきてくれたことで、先ほど感じた怒りや嫉妬の感情は和らいでいった。

「あなた、大丈夫?」
通路の電灯を点けることなく目隠しのカーテン越しに妻が声を掛けてきた。

僕は返事をしようかと迷ったが、2人がどのような会話を交わすのか少し興味が沸き、
また、妻が僕の信頼に応えてくれるところを見たくて大きく深い呼吸を繰り返し寝たふりをした。

「寝てるの? もう9時過ぎてるのよ。お腹が空かないの?」
妻は寝ていると思った僕に気を使い段々と小声になっていった。

「大内さんの船酔い酷かったからな~ このまま朝まで寝かせておいたらどうですか?」
妻の気配の後ろから田中の声が聞こえる。

「朝まで?」
「はい。酔い止めには眠くなる成分が含まれていて、たぶん無理に起こさなければ朝までぐっすりと
眠れるはずです。明日の北海道の道程を考えるとその方がいいと思いますよ」

「そうね。じゃあ・・・・・・起こさないことにする」
「はい」
僕は妻が田中の提案に巧く流された気がした。

「それじゃあ・・・・・・主人を起こさないなら夜ご飯どうしよう?
売店でおにぎりでも買ってこようかしら」
妻が独り言のように呟いた。

「僕が買ってきますよ。映画に付き合わせたのはこっちですから」
田中が隣の寝台の上段に上がり荷物を開ける音が聞こえ、
「具は何がいいです?鮭とか昆布とか? それから・・・・・・ ちょうど渡辺がいないからラフな格好に
着替えられたらどうです?僕らがいたら着替えにくいかと・・・・・・」
とさり気なく女性を気遣う発言で妻の行動を促した。

「田中君はモテるでしょう? 女性に気が利く男は案外少ないのよ。じゃあ遠慮なく、私は鮭ね」
「いえいえ、モテませんよ。彼女いませんから。っと分かりました鮭ですね。他におかずがあれば
適当に買ってきます」
寝台から慌ただしく下りる音が聞こえ田中の気配が消えると、妻が寝台の上段に上がりカーテンを閉めた。

僕は妻が若い田中に、巧みに誘導されているような気がして気が気ではなく、声を掛けたい
気持ちを一生懸命に抑え込んだのだった。


妻の着替えが終わり、暫くして田中が売店から戻ってきた。

僕の頭上から、
「おかえりなさい」
と妻が田中を出迎えた。

「戻りました。鮭がなかったんで、何種類か買ってきました」
「え~いいのに。気を遣わせてごめんなさいね」

「いえいえ、大丈夫ですよ。余った分は渡辺が食べますから」
ゴソゴソと音が聞こえて買ってきた物を妻が寝台から受け取っている様子が窺えた。

「上からごめんなさいね」
「いえ、狭いですからお気遣いなく」

田中が隣の寝台の上段に上がる音が聞こえ、2人同時に頂きますと言って食べ始めた。
僕は妻の田中に喋りかける言葉の裏にどことなく甘えた響きがあるのを感じ取っていた。

「ねえねえ田中君、そういえば渡辺君は何処に行ったのかしら?」
僕は寝たふりを継続しながら妻と田中の小声の会話に集中した。

「多分というか、あそこでしょう」
「あそこ?」

「はい。あそこっていうのは車庫のことです。あいつバイク狂なんで、明日に備えてメンテ中だ
と思います。あいつがバイクを触りだすと当分の間は戻ってきませんから余ったおにぎりは
あいつの夜食ですね」

2人の会話からは映画館で覗き見た恋人同士の様な雰囲気は感じられず、唯一妻の言葉の
甘えた響きだけが気になってはいたが、内容自体も極々ふつうのもので、僕は2人の会話を
聞きながら先ほど嫉妬心を燃やした自分を恥じたのだった。
 2017_06_19


Comments

期待してます 

今後の進展期待してます
次回アップの予定が分かれば期待感がもっと盛り上がるのですが
maru  URL   2017-06-29 13:22  

Re: 期待してます 

maruさんコメントありがとうございます。
テンポよくアップ出来るように頑張ります。
ヒデマル  URL   2017-06-29 20:39  

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