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船上で寝取られて~その7~


僕の頭上からは2人の話し声が聞こえていた。
寝ている僕に気を遣ってか、2人は小声だった。
しかし、頭の上で話をされればどんなに小声で話そうとも2人の会話は筒抜けだった。

妻の寝台に田中が移動してから5分程が経過していた。
僕にとっては想定外の成り行きで、妻への信頼が再び揺らいだのだった。

妻と田中は軽食の後にお互いが身の回りの片付けをしていたようだが、暫くして妻の方から
隣の寝台の田中に甘えた響きのある声色で、
「北海道のガイドブックを見せてくれない?」
と声を掛けたのだった。

声を掛けられた田中の行動は早く、手荷物からガイドブックを漁る音が聞こえたと思ったら、
「そっちに行きますね」
と言って妻の寝台に移ったのだった。

その時の妻は、小さく「うん」と返答したのみで、寝台に夫以外の男が入り込む事への抵抗感や
罪悪感を抱いている様子は微塵も窺えなかった。
 
僕の頭上からはガイドブックをめくる音と、妻と田中の楽しそうな会話が聞こえていた。
寝台の壁側に背を預けて2人が仲良く肩を並べて1つのガイドブックを見ている光景が
脳裏に浮かぶ。

僕はカムフラージュの寝息を意識しつつ、耳を欹てて2人の会話に集中した。
「それにしても大内さん、よく眠っていますね」
田中の話がガイドブックの内容から離れた。

「本当、普段より眠りが深いかも・・・・・・ 酔い止めってすごいのね」
「そうなんですよ」
妻と田中は僕の大袈裟な狸寝入りを完全に信じているようだ。

楽しそうな2人の会話が不意に途切れた。
僕の頭上の寝台がギシギシと音を立て小さく軋んだ。

「田中君・・・・・・駄目よ」
妻の鼻にかかる甘えた声が聞こえた。

「すみません。絵理さんが綺麗だからつい・・・・・・」
「駄目よ・・・・・・ あの人が起きる・・・・・・」

田中が妻に対して良からぬ事をしているのは想像できた。
しかし、下の名前で呼ばれた妻が言葉とは裏腹に大して嫌がっているようには思えなかった
僕は、起き出して田中を制止する気にはなれなかった。

「映画館では許してくれたのに」
田中が拗ねる口調で妻に言い寄る。

「もう・・・・・・ 渡辺君が帰ってきたらすぐに離れてよね」
妻は鼻にかかった声で、渋々といった感じで田中の要求を受け入れようだった。

僕は妻が田中に何を許したのか想像した。
時折、頭上の寝台が軋む音がするが、それ以外に動く気配や会話はなく、僕は次第に
気が気ではなくなっていった。

―――妻は何をされているんだ?―――

僕は静かに上半身を起こして耳の位置を高くした。
さっきまでは聞こえなかった2人の息遣いが聞こえてきた。

どうやら僕の頭のすぐ上に2人がいるみたいで、気配を感じた。
―――映画館みたいに妻は肩を抱かれているのかもしれない―――
僕は映画館で2人抱き合っていた光景が脳裏に蘇って息苦しさを感じた。

「なんだか若返ったみたい」
「若返ったなんて、絵理さんはまだまだ若いですよ。それにすごく綺麗で僕の心臓が
緊張でドキドキいってます」

「お世辞が上手いね」
妻の楽しそうな声に僕は苛立ちを覚えた。

「絵理さん胸の上をほら・・・・・・」
「あー本当だ。すごいドクドクいってるよ。若さを感じるわ」

「絵理さんが触るから心拍数がりました」
「えー興奮? おばさんで興奮?」

「正直に言うともう我慢できませんよ」
「駄目よ。ちょっと田中君、駄目、駄目、タイム、くすぐったいよ」

頭上からはギシギシと寝台が軋む音が聞こえ、田中を制止する妻と迫る田中の声が聞こえてきた。
しかし、僕には聞こえてくる声の調子などから恋人同士がじゃれ合っているようにしか受け
取ることが出来なかった。

「駄目ったら。起きちゃうから・・・・・・ もう・・・・・・」
「ちょっとだけです」

「ちょっとだけよ。なんで私が、はぅ~」
妻の声が途切れて、苦しそうな息遣いが聞こえた。
その息遣いは次第に小さくなっていき甘美な響きを持ち始めた。

頭上の会話はなくなり、
―――ちゅ、ちゅ、ちゅ―――
と粘着質な音が聞こえてきた。

「駄目よ、口は駄目」
絞り出すような妻の小さな声が聞こえた。

「静かに、大内さんが起きちゃいますよ」
「もう、駄目、あ~ん」

―――ちゅう、ぺちゃ、ちゅ―――

「舌は駄目だって。本当に駄目」
「大丈夫ですよ」

僕は心の中で、
―――この野郎、何が大丈夫なんだ!―――
と毒づいた。しかし、抵抗の姿勢を見せるものの、田中の行為にまんざらでもなさそうな妻の様子に、
田中への怒りではなく妻の裏切りに対して何とも言えない寂しさと腹立たしさを感じた。

―――ちゅう、ぶちゅう、ちゅ、ちゅ―――
頭上から聞こえてくる音は大きくなり、湿り気を帯びてゆく。

頭上の寝台が大きく軋んだ。
「絵理さん、手をこっちへ回して」
「えっ、もう・・・・・・ こんなところを見られたらどうするの」

「大丈夫です。もっと強くほら」
「こう? 嫌だぁもう~こんなに抱き合っていやらしい」

暫くギシギシと頭上の寝台が軋んでいたが、2人が体勢を変えたのではと想像できた。

―――ちゅ、ちゅ、ちゅ、ぴちゃ、ぶちゅう―――
水っぽい音が客室に響いていた。その音の中に妻のくぐもった声が聞こえた。

「うっ、ふ~ん」
「絵理さんの口、美味しです」

「若いのにいやらしい言い方ね。これ以上は駄目よ」
妻は諭すような口調だ。

「本当に駄目なんですか? 試してみます?」
再び頭上の寝台が大きく軋んだ。

「ちょっと! 駄目よ、首筋は弱いん、ひっん!」
田中が妻の首筋やうなじに舌を這わせていることが容易に想像された。

「駄目だってば、ちょっと待って、タイム。閉めるからちょっと待って」
妻の「閉めるから」の意味はすぐに分かった。

寝台上段の目隠しのカーテンがゆっくりとレールの音を抑えて静かに閉まったのだ。
妻がカーテンを自ら閉めたことで、言葉では田中を制止している妻の内心が理解できた気がした。
僕の妻への信頼は完全に失われたのだ。
 2017_07_01


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